2015年11月9日、プロ野球チームの北海道日本ハムファイターズが新千歳空港に掲載していた広告を撤去したことがニュースとなりました。
広告内容について、北海道アイヌ協会が問題視していたことが要因だ。
その内容ですが、「北海道は、開拓者の大地だ。」というもの。
アイヌ民族にとって開拓者の大地という表現は、先住民族の歴史をないがしろにしていると受け止められるということだ。
このニュース、アイヌ民族の歴史を知らない人からすると理解しづらいかなと思います。
ということで、今日はアイヌ民族について触れていきます。
アイヌ民族とは
アイヌ民族とは、元々北海道・樺太・千島列島の地域の先住民族です。
狩猟や採集を行う民族で、それらをロシアや日本と交易を行うことで生活していました。
アイヌとは元々「人間」を意味する言葉で、自然を指す言葉「カムイ」に対する概念としての「人間」ということだとされている。
当時日本人はアイヌを「蝦夷」、アイヌ民族の居住地を「蝦夷地」と呼んでいたそうです。
アイヌ民族の人口
アイヌ民族の総人口について、詳細は不明となっています。
わかっている情報として、2006年に北海道内で調査に応じてくれた人のみで24000人弱だそうです。
アイヌ民族の歴史
アイヌ文化の母体になったと言われている擦文文化(さつもんぶんか)が始まったのが7世紀頃。
この擦文文化を継承し、オホーツク文化と本州の文化を合わせてアイヌ文化が生まれたとされている。
13世紀にもなると農耕も取り入れられ、海を渡った和人との交易も開始される。
狩猟や採集・農耕の収穫物の交易により生活してきたアイヌでしたが、19世紀に入ると和人による大規模な開拓によりアイヌ民族の居住地である蝦夷地が日本に併合されます。
そう、現在の北海道となるのです。
これにより、生活の糧となる狩猟や採集の場が狭まるとともに和人への同化が進められます。
この時点では一応「平民」として受け入れられはしますが、同時に「土人」とも呼ばれ入墨や耳環などのアイヌ文化は陋習(ろうしゅう)とみなされます。
※陋習とは、いやしい習慣や悪い習慣という意味です。
また地租改正により和人に土地の所有権を奪われることもありました。
居住地である蝦夷地は日本の北海道となり、元々住んでいた土地は奪われ、生活する上で必要な狩猟や採集は制限され、挙句の果てに土人やら陋習やらと差別を受けるのです。
当然ですが、生活は困難となっていきます。
驚くことに、我々日本人がこのような政策をしてきたのです。
このような背景から、「北海道は、開拓者の大地だ。」というセリフが問題視されているということです。
今もなお北海道内にアイヌ出身の一族がいらっしゃるにも関わらず、土地を奪い差別され苦しい生活を強いられてきた原因が開拓者なのですから。。